国際山岳ガイド 山下

国際山岳ガイド(IFMGA/IVBA/UIAGM)のブログ

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「アルパインクライミング」の定義は?
 いつも安易に使われていると思います。
 ただ脆いとか、アプローチが遠いとか、簡単な岩稜をアルパインクライミング、アルパインチックとか、よく使われいます
 個人的には国内では冬季登攀以外には使いたくないです。
 アイスクライミングルートも同様です。ただアイスクライミング。



アルパインエリア
 標高が高いエリア。どこから高い?日本だと森林限界の2200-2500m位か?

アルパインスタイル
 数人にて生活道具全て背負って、ポーター、シェルパ、固定ロープ等を使わずに登るスタイル
 対義にエクスペディションスタイルがあります。

アルパインクライミング
 アルパインエリアをアルパインスタイルで登るクライミング。
 元はヒマラヤでの大人数で固定ロープを使って高山を登るスタイルに対応して
 ヨーロッパアルプスの山(テクニカルルートから)を登るスタイルだと思ってます。
 なので雪、岩、氷が必要。

日本では北南アルプスを代表とする標高の高いエリアでのクライミングとなるかと。
北海道も含まれます。

アラスカのルース氷河でのドライのクライミングはアルパインエリアでのロッククライミングと言われてます。
となると日本の夏の壁は皆アルパインエリアでのロッククライミングとなるし、自分も日本の夏壁は
アルパインクライミングとは思えない。これはやはり
「アルパインエリアでのロッククライミング」

アルパインクライミングは以下の要素があるかと
 リッジクライミング(岩稜)
 ロッククライミング(フリー、エイド)
 アイスクライミング
 スノークライミング
 マウンテニアリング

R&Sの記事のアルパインクエリアでのラッペリングボルトでのルート開拓について出ていたけど、私は開拓スタイルはそれほど気にしない。そりゃ素晴らしい評価すべきスタイルとかはあるけど。


続登者にはルートの開拓歴史を知ってる人もいるし、全く興味ない人もいるし。
ただ文字にそのルートの開拓歴史、手順は残しておきたいとは思いますが。
グランドアップ、ラッペルで開拓、後からボルト追加、電動ドリルの有無とか、色々。

PC070093

これは黄蓮谷右俣。アルパインアイスとは夏に標高の高い山でのアイスルートことらしいので、これもただのアイスクライミングとなるか。
でも日本ではこれはアルパインアイスと言って良い気がするが。

Yosemite El Capitan:Sea Of Dreams(5.10 A5)

これは私の尊敬するJim Bridwell、Dale Bard、Dave Diegelemanらが1978年に開拓した当時の最難ルートです。ここにはラープで作成されたビレイ点や、「もし落ちたら死」というピッチがありました。
昔の「Yosemite Climber」という写真集に、このルートのあるビレイ点でユマールしている先のデイル・バードの写真があります。(笑顔ですが・・・・)。このビレイ点はブリッドウエルがラープ6連発で作成したのですが、デイル・バードが「ボルトを追加しなきゃ、やだよ~」と言ったので、ブリッドウエルは「この野郎、人の気持ちも知らないで」と怒りながら、このルート上でたった1本のボルトを追加したそうです。結局初登時にフック用に39個の穴を開けたらしいですが、今では200個以上あるといわれています。
また当時のエイドルートではブランクセクションで人工的に岩に手を加えることは認められていました。これってクライマーのレベルによって、手を加えるサイズや数が違ってくるので、当然再登が増えれば簡単になりますね。
でもフリールートでは認められてませんでした。これを大胆に破ったのが例のハング・ドッグ、フレンズの発明者レイ・ジャーダインで、彼が1981年に早くもノーズのフリー化に取り組んだ時、数箇所ホールドを作成し非難されました。でも現在のノーズフリーはこの箇所を登っているそうです。なかなか矛盾してますねえ。


SOD
ビレイ点のデイルバード
ラープ連打
ラープとはRurp(Realized Ultimate Reality Piton)。実現された究極の現実のピトン。


■ 「あそこに行くと勘違いするやろ」 by Mガイド
不動沢の駐車場でMガイドと会った時、「(ガイドで)小川山へいかないんですか」とMガイドに質問したときの返事。

■ 「今登ると人工になるで」 by Mガイド
Mガイドが墜落して腕を折った後、治療用に腕の中に金属プレートが入れた状態でクライミングを再開した時の一言。

■ ショートフィックス
Y:瑞牆の末端壁をコンテやショートフィックスで登れればいいねえ。
M:わしはJ山でコンテで登ってるで。
Y:なんの為にやってんの? なんか目標ルートあるの?
M:念の為や
Y:(笑い)

■ チータスティックの由来
「君達はルートを登ったんじゃない、ルートを盗んだ」 by Jim Bridwell
ヨセミテであるエイドルートを登ったクライマーが、チータ・スティックを他のクライマーに自慢げにしてたのを見て一言

■ フレンズの由来
「おい あの友達のやつ持ってきた?」 by Ray Jardine
フレンズの開発者レイ・ジャーディンとフレンズを知っている友人2名と、他のクライマーとでクライミングに行った時、他のクライマーにばれない様にとっさに言ったこの一言で、名称が決まった。

■ アルパインって
「日本の夏壁はアルパインクライミングではない。」 
「ただ脆い、山の奥にあるからといってアルパインクライミングとは言わない。」
昔から言われているけどね。

■ 落下係数2の男
あるクライマーは、鹿島槍ケ岳の氷のリボンの初登を狙った時、2ピッチ目の終了点直前でフォールし、途中ランナーが全部抜け、ビレイヤーを通り越して雪にグランドフォール。下が深雪だから助かったようなもの。60m以上は落ちたらしい。「落下係数2の男」です。たぶん存命するクライマーでは一番災難、遭難が多いんじゃないかな。ちなみこのルートは翌週、東京のクライマーによって初登されました。

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